私たちの日々は一瞬でおとぎ話と同じになってしまう。
その日々を生きる意味を、制作を通して探していた。
記憶を愛しいと思うことも、永遠が叶わないことも、
悲しいがとても美しいことだと思った。
山本アンディ彩果が砂糖漬けという手法で作品をつくり始めたきっかけは、認知症の祖父との二人暮らしだった。一瞬前の出来事ですらすぐに忘れてしまう祖父を前に、自分の中の記憶がまるでフィクションのようだと思えてきたと語る彼女は、おとぎ話(=フィクション)の本を砂糖漬けにしていく作品『エターナルストーリー』の発表をしはじめた。失ってゆく記憶をとどめようとする行為と、果物などを美しいままに保存する砂糖漬けという技法は似ている。刻々と溶けていってしまう儚い保存方法を用いることで、どうしても忘れていってしまう記憶に対する自覚と、それと同時に記憶が永遠に残ることを願う思いの両面を表している。
本展では、記憶に関する様々な作品を発表してきた山本アンディ彩果の出発点となった、祖父との関係性をみつめた作品をよりすぐりここに展示いたします。
Information
会期:3/16(火) - 28(日)
休廊日:3/22(月)
時間:14:00-20:00
※ 20(土)、27(土)は18時クローズ、18:30よりパフォーマンス&トークイベント。詳細下記
場所:1Fギャラリー、2F
Profile
山本アンディ彩果
1992年神奈川県横須賀生まれ。「自分と他者との間に在る目に見えないものの可視化」を軸に立体や映像インスタレーション等、様々な手法や素材を用いて表現制作を行う。現在は認知症の祖父と二人で暮らした事をきっかけに「砂糖漬け」の技法を使い「記憶の在り方」について考察した作品を発表している。
Event
3/20(土), 27(土) 制作パフォーマンス&ギャラリートーク
3/20(土) & 3/27(土) 18:30開場 / 19:00開演
¥500 お茶・お菓子付き 定員15名
砂糖の入った皿をアルコールランプで熱して「おとぎ話」の一節をあぶり出し燃焼させることで、記憶を想起する際の感覚を鑑賞者に共有する作品『さよならできない』の制作パフォーマンスを、高良真剣の演奏、コムラマイの撮影・映像投映と共に行います。
なおパフォーマンス後には山本と高良、コムラのギャラリートークを予定しておりますのでぜひご参加ください。